授業準備のポイント・流れ

日本語教師-ブログ

どうやって授業準備をすればいいかわからない人はいませんか?

私も日本語教師になったばかりの頃はどうすればいいかわからず、試行錯誤していました。

でも、教師を続けていくうちに自分のスタイルというものが確立してきました。

ここでは、日本語教師になったばかりの方、これから教師になろうと思っている方に、授業準備の流れ、ポイントなどをご案内します。


授業構成>

授業準備をする際は以下のような流れで行っています。

授業内容によって、流れは変わると思いますが、ここでは文法の授業を想定しています。


参考書を見る

まず、始めに参考書などを見て文法を確認します。

理由は以下のとおり。

  • 文法の理解を深めるため。
  • 間違った理解で教えないようにするため。

ここでしっかり確認しておけば、準備の途中で、「あれ?これ、何だっけ?」とか「この文型はこの表現と一緒に使えないのはどうして?」など、迷いが減り、より準備がスムーズに進むでしょう。

私は参考書を読むときは

  • この文型の意味
  • この文型と接続する品詞とその形
  • この文型の注意点
  • この文型と共起する表現
  • この文型と似ている文型の違い

などの情報を得るようにしています。

参考書はご自身が持っているものや、自分好みのものを使用するといいと思いますが、私がいつも使用しているのはこちら。


みんなの日本語を教えるなら、「教え方の手引き」は絶対に見たほうがいいです。導入例、練習、解説などがあり、これがあればそれなりの授業ができるでしょう。




導入を考える

文型導入は非常に大事です。ここでいかにわかりやすく、そして印象に残る導入をするかで、この文型が記憶に残るかが決まります。導入にはいろいろなパターンがあります。

導入パターン①絵や写真を使う

絵や写真を用意して、その描写を言語化して導入します。

導入パターン②ジェスチャー

教師がジェスチャーを使って、その描写を言語化して導入します。

例)※「~ています」の導入

  • <これから水を飲むジェスチャー> → 水を飲みます
  • <水を飲み終わったジェスチャー> → 水を飲みました
  • <水を飲んでいるジェスチャー>  → 水を飲んでいます

導入パターン③学生と話しながら

学生と話している中で、自然に文法を使って、導入します。

※「~へ~に行きます」の導入

T:日曜日どこへ行きますか。

S:渋谷へ行きます。

T:渋谷で何をしますか。 

S:ケーキを食べます。 

T:Sさんは渋谷へケーキを食べに行きます。

導入のポイント

導入する際にはいくつかポイントがあります。

ポイント①学生に馴染みのある場面設定や話題設定

学生の年齢や趣味、職業などに合わせて、導入すると学生はイメージしやすいでしょう。

例えば、学生が10代の場合は、会社での場面は馴染みがないので、イメージしにくいです。

逆に学生が40代、50代の場合は会社での場面を想定すると、イメージしやすいです。

趣味がアニメなら、そのアニメを話題にすると、学生は興味を持って授業に参加します。

できるだけ学生の情報を頭に入れ、学生に合わせた場面、話題設定をしましょう。


ポイント②例文は短く、シンプルに

導入時の例文は短いほうが学生にとっては、すっと頭に入ります。

文が長かったり、わからない言葉があると、学生は理解に時間がかかります。

また、教えたい文法にフォーカスしてほしいのに、学生が他のところに注目してしまうと、ぼやけてしまい、印象に残りにくいです。

できる範囲で、例文は短く、シンプルにするといいでしょう。


ポイント③インパクト、サプライズがある導入

インパクト、サプライズがある導入だと、印象に残り、学生の頭に残りやすいです。

例として、

  • ①自分の得意をやる
  • ②学生を巻き込む

などの導入方法が挙げられます。

①自分の得意をやるとは、例えば絵を描いたり、けん玉をしたり、逆立ちをしたりなどです。

②学生を巻き込むとは、一緒に絵を描く(~とおりに)、教室を出る(ここは~です)、などです。

このようなことをすると、いつもと違う授業が演出できて、学生の印象に残りやすいです。


練習を考える①

ここではパターンプラクティスを考えます。

パターンプラクティスは以下のようのものがあります。

  • 反復練習
  • 変形練習
  • 代入練習
  • 拡張練習
  • 完成練習
  • 応答練習

まずはこのような練習をして、口慣らしをしたり、よく一緒に使う言葉を知ってもらったりして、この文型に慣れてもらいます。また、これをやることにより、正確性の向上が期待されます。


練習を考える②

ここでは、決められた答えではなく、より自由に文を考える練習をします。

以下に、例を挙げていきます。

絵を見て文を言う。 

絵を見せて、その描写を文にする練習をします。

文を完成させる  

___部分のところを自由に文を考えます。

例1)※~ておきます(準備)

旅行のまえに、____おきます。

例2)※~まえに

試験のまえに、____。

自分のことを話す、書く 

今日学習している文型を使って、学生自身のことを自由に話したり、書いたりします。

例1)T:どうして日本語を勉強しているんですか。

   S:日本の会社で働きたいんです。

例2)<最近、できるようになったことを書きましょう。>

  答え:日本人と少し話せるようになりました。


このように学習者が頭を使って文を作り出す練習をして、少しずつ文型の定着を図っていきます。


応用練習を考える

ここでは、会話やロールプレイをして、リアルな状況下を想定し、学習した文型を使う練習をします。

例)※「~にします(決定)」を学習

状況:友達とレストランへ来ました。

やること:メニューを見て、料理を注文しましょう。

会話例)

A:カレー、おいしそうですね。

B:でも、少し高いですね。   

A:そうですね。ハンバーガーのほうが安いですね。

B:そうでうね。全部、おいしそうですけど、Aさんはどれにしますか。

A:うーん、わたしはカレーにします。

B:じゃ、わたしはハンバーガーにします。   


練習する際は、学生に状況や目的をしっかり説明しましょう。

難しそうな場合は、初めは上記の会話文を穴埋めにして、それを考えてから、ロールプレイに移ってもいいですし、教師が見本を見せてもいいですし、臨機応変に対応しましょう。

この活動で大事なことは

  • 学習者が目標を理解する
  • 学習した文法を使う
  • 目標を達成すること

です。

この活動がうまくいけば、学習者の成功体験となり「日本語を上手になった、楽しい!もっと勉強して話せるようになりたい!」と思い、モチベーションアップにつながります。


私がいつも参考にする本はこちら。

いろいろな活動が載っているので、おすすめです!


まとめ・確認

授業の最後に確認・まとめをします。

ここでは簡単に教師が質問して、学生は学習した文型を使って答えたりできればいいでしょう。

適宜、練習で使ったイラストを使って、学習した文型で文が言えるかなどをしてみてもいいです。


<最後に>

今回は授業準備の流れを説明しました。

流れのおさらいです。

1.参考書を見る
2.導入を考える
3.練習を考える①
4.練習を考える②
5.応用練習を考える 
6.まとめ・確認

あくまでこれは私の準備のフォーマットとなるものです。

授業準備は大変だと思いますが、少しでも参考にしていただければと思います!

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